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三年目(さんねんめ)は古典落語(江戸落語)の演目の一つ。四代目橘家圓喬が得意とした噺で、五代目三遊亭圓生、六代目三遊亭圓生に受け継がれた。上方落語でも同様の噺があり、「茶漬幽霊(ちゃづけゆうれい)」という。 == あらすじ== 大変仲の良い若夫婦があった。人もうらやむ夫婦仲の良さであったが、元々病弱だった妻は長患いの床に付く。夫は献身的に看病するが、死期の近いのを悟った妻は夫に言う。 「私が死んだら、あなたはきっと別の人と再婚するんでしょうねえ・・・」 「気弱になってはいけないよ。お前の病気は必ず治る。また元気になるとも。もし万が一・・・万が一だよ、お前にもしもの事があったって、私が惚れた女は生涯お前一人だ。絶対他の女は近づけない」 しかし妻は、うれしそうにしながらも不安を隠せない。 「でも、あなたのような気の優しくていい男が、いつまでも一人でおられないでしょう。親戚やら近所やらが、早く再婚しろ、早く再婚しろと言って来たら、結局は断れないでしょう」 「そんなに心配ならこうしよう。どうしても再婚しなけりゃならなくなったら、祝言の夜、お前が幽霊になって出ておいで。お前の幽霊なら怖くない。むしろうれしいくらいだ。でも、新しい妻はびっくりして逃げ出すだろう。懲りずにまた再婚を勧められても、同じようにすれば、『あの男には先妻の幽霊が取り付いている』なんて噂が立って、そのうち嫁のきてがなくなる。そうなったら、私はずっと一人でいられるよ」 夫の言葉に安心したのか、妻は程なくあの世に行ってしまった。 夫はしばらく一人でいたが、やがて親類縁者から、早く再婚しろ、男は所帯を持って一人前だ、などと矢の催促。致し方なく後妻を迎える事となった。もちろん祝言の夜は、いぶかしむ新妻をよそに、早く先妻の幽霊が出て来ないかと一晩中待っていたが、どうした事か何も出ない。三千世界とか十万億土とか言うから、幽霊も彼岸(ひがん)から此岸(しがん)へ帰って来るのに日数がかかるのかと、翌晩もまた翌晩も待ち続けたが、待てど暮らせど幽霊どころかねずみ一匹出て来ない。そうなると、いくら気の進まない再婚とはいえ、もともと気の優しい男だから、新しい妻をいつまでも打っちゃっておくのもかわいそうになる。しぶしぶ床を共にすると、いつしか情もわいてきて、そのうちに子供もできた。新しい妻とも打ち解け、子供をかわいがり、はた目にも仲睦まじい家族になった。夫の心からはいつしか先妻の面影も薄れて行ったが、それでも3年目の命日には忘れず家族で墓に詣でた。 その夜。妻と子供はすっかり寝静まった頃、夫は一人目を覚まして物思いにふけっている。そこへ、障子にさらさらと髪の毛が触れる音が。見ると、先妻が長い黒髪を振り乱して立っている。驚いた夫が、 「気の利いた化け物はとうに引っ込む刻限だ〔遅れて来た者に言う慣用句。通常は皮肉の意味で言われる。〕。なんだって今頃出て来たんだね」 と問うと、幽霊は夫の前に来て恨み言を言う。 「あなたという人は、あれほど固く約束したのに、こんなきれいな人と再婚して、かわいい子供まで作って、ほんとに恨めしい・・・」 そこまで言われては夫も黙っていられない。 「まあまあお待ち。お前は、生きていた時は多少とも物分りのいい女だったはずだが。ああ、約束しましたよ。だから私は、祝言の夜も一睡もしないでお前が出て来るのを待っていたんだ。でも出て来ない。次の夜も、その次の夜も、今か今かと待っていたのに、化けて出るどころかウンともスンとも言って来なかったじゃないか。そうなりゃ、新しい妻を放っぽってもおけないし、子供もできる。今頃になって文句を言うくらいなら、なんでもっと早く出て来なかったんだね?」 すると幽霊が答えていわく。 「あなた、それは無理でございます。私が死んでお棺に入れる時、皆さんで寄ってたかって髪の毛をそり落としたでしょう」 「そういう習いだからね、親戚の者たちがみんなで一剃刀(ひとかみそり)入れて髪を下ろしたんだ」 「ですから、坊主頭で出たら愛想を尽かされると思って、3年の間、髪の毛の伸びるのを待っておりました」 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「三年目 (落語)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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